腰椎分離症・すべり症の症状と特徴
十代のスポーツ選手に多く発症し、腰痛や太腿裏や脹脛など下肢の痛みや痺れが主な症状です。
特にジャンプや腰を捻る動作の多い競技に多く、競技人口の比率から野球選手がもっとも多いようです。
原因とされているのが、練習のしすぎ・いわゆるオーバーユースです。
中学生の腰椎は大人に比べて弱いことも原因のひとつといえます。
使いすぎによって未熟な腰椎に亀裂が入り、分解されたようにレントゲンに写るので分離症と呼ばれます。
進行して分離が進み、腰椎がスライドしたように移動すると分離すべり症となります。
分離症・すべり症の診断
レントゲンもしくはMRIによる画像検査で確定診断されます。
しかし、面白いことに画像で腰椎が分離症すべり症の形態になっているとしても、痛みや痺れを全く感じないケースは希ではありません。
つまり、腰椎分離症・すべり症は、あくまで画像検査で判明する腰椎の変性に対する病名であって、症状の原因は腰椎の分離やすべりとは関係が無いということです。
分離症・すべり症の治療
多くは保存療法による知慮になります。
画像で観る腰椎の変性度と、痛みや痺れの自覚症状は比例しないということは、分離やすべりじたいが痛みを生み出しているということではないとわかっているからです。
ただし、下肢の麻痺や激しい自発痛が続くようなら手術を勧められることもあります。
参考:Medical note「脊椎分離症の手術-こどもに多い分離症とその手術について」
整形外科学に基づく治療は、まず練習を休止して安静に努め、シップや注射などで回復を待ちます。
スポーツ整形外科などリハビリ設備が充実しているところでは体操療法や筋トレ、体幹トレなどをするところもあります。
経過をみながら競技復帰のタイミングを計ります。
いつ練習を再開するかは、患者さん自身の自覚症状で判断されます。
つまり、患者さんが痛みがなくなった、良くなってきたと言えば、定期的に行われる画像検査でたとえ腰椎の分離やすべりの程度が改善していなくても、重要視されることはないということです。
当院の腰椎分離症すべり症専門施術では
何が原因で腰椎が変性したのか、その原因をバイオメカニクス(全身の筋肉と関節の連動と重力の相関)と競技特性を基に突き止め、施術していきます。
そのうえで、最短期間で練習復帰できるよう、鎮痛・徐痛を目的に痛みの発生源である軟部組織(筋肉・筋膜・靭帯など)に対し、積極的な手技療法を施術します。
分離症すべり症に限らず、腰痛の根本的な原因は腰意外の関節可動域の低下にあります。
ジャンプで腰を反るときや、バッティングで捻るときは、全身の関節が動かなければならないのに、どこかの関節が動けていないので、腰の関節に余分な動きが加わり続けて損傷します。
11人でプレーしないといけないのに、一人サボっているために残り10人に負担がかかっているのです。
その一人が攻撃担当か、防御担当かで10人のうちの誰に一番負担がかかるか変わってきます。
次の動画は腰痛改善で来院した棒高跳び選手の股間節可動制限のようすです。
片方の股間節伸展運動は、走るときに左右のストライド(脚幅)差を生みます。
その差を無意識に埋めようとするため、可動制限のあるほうの脚を後ろに送ったときに腰部は過剰に伸展します。
次は肩関節可動制限の施術前後の比較です。
右手をできるだけ高く上げるよう指示しています。
施術前の肩関節は制限がかかっているため、高く上げようとすると肩関節の代替作用で腰を反るようになります。
棒高跳びの踏み切り動作は、全身を大きく反らせます。
全身の関節が適正に可動し、しなやかな弧を描くのが理想ですが、肩や股間節の可動性低下は腰部の過剰伸展を強制し、損傷に導きます。
これは野球の投球、テニスのサーブ、バレーボールのスパイク、水泳など多くの競技にみられる動作です。
腰椎分離症すべり症に限らず、スポーツ選手の腰痛改善は腰部に施術するだけでは早期改善は見込めません。
しばらく練習を休んで治ったと思って練習を再開すると、また痛みが出るというのは、このような腰に過負荷を与える原因を改善できていないからといえるのです。
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