高齢者の膝の痛み・変形性膝関節症とは? | 変形するメカニズムと原因、整形外科と整骨院の治療の違い

こんにちは。神戸・明石 はりま接骨院です。

変形性関節症は、膝や股間節に多く発症します。
特に中年以上の女性に多いですね。

特にぶつけたとか捻ったという覚えもないのに膝や股間節が痛くなって整形外科に行くと、

軟骨磨り減ってますね

歳だからね

使いすぎが原因ですね

と説明されます。

体重が増えすぎ

とも。

 

これら言われることは間違いではありませんが、かなり端折って一言で済ませられています。

お医者さんは患者さん一人を5分で回さないといけないので説明したくてもできないんですね。
それにできることは厚労省に決められてますし。

 

この記事では学術論文を引き合いに出し、

変形性膝関節症の本当の原因は何なのか

何が関節を変形させるのか

を解説していきます。

変形性膝関節症でお悩みの方はぜひ一読ください。

 

関節はどのように変形していく?

関節軟骨のコラーゲン配列が乱れプロテオグリカンが・・・関節液のIL-1β, TNF-αが・・・

って、訳のわからない用語と記号が並ぶともう嫌になりますよね。
生理学で話すと全く理解不能になりますので、専門用語なしで簡単にざっくり解説しましょう。

 

①関節の軟骨の表面が磨り減る→

②軟骨が減ると関節の隙間が狭くなって、骨同士がぶつかりあう→

③機械的刺激をうけた部分に新しい骨が沸いてくる→

④沸いた骨が固まって歪な形に変形→

①~④の繰り返しでどんどん変形していく

こんな感じです。

もうちょっと詳しく知りたい方はこちらをどうぞ→小林病院「変形性関節症の基礎」

 

なぜ軟骨が磨り減るのか?そもそもの原因はストレス?

ずばり原因はストレスです!

って、今ではなんでもかんでもストレスで片付けられてる気がしますが、こっちのストレスは精神的なものじゃなくて機械的なものです。

メカニカルストレス=機械刺激のことなんですね。

 

変形性関節症(以下、膝OA)は関節軟骨の変性・破壊をきたし・・・・加齢因子や遺伝的因子、性的因子、体重因子、膝関節外傷の既往因子など、種々の因子が膝OA発症に関与する。なかでも関節軟骨に加わるメカニカルストレスは重要な因子であると考えられている。

出典:運動器理学療法学会「メカニカルストレスと変形性膝関節症の理学療法」

 

メカニカルストレスとは何か?

具体的に言ったら摩擦のこと。
磨り減ってるんだから当然といえば当然ですね。

 

体重や年齢が原因ていうのもこれのせいです。
重いほど関節にかかる摩擦が増えるし、年齢は軟骨を脆くするからです。

 

関節を変形させるメカニズム

メカニカルストレスは関節の骨と骨の位置関係の乱れ、つまり骨のズレを生み出します。

膝の関節面(太腿の骨の下部面と、スネの骨の上部面)が並行してないといけないのが乱れてしまっているんですね。

 

 

画像は左膝を正面から撮ったレントゲン写真です。
正常な関節面は並行してますが、悪いほうは歪になってますね。

外側より内側のほうが骨同士の距離が詰まってしまってます。

 

お医者さんに

関節の隙間が狭いですねー

と言われる状態です。

 

では、なんでこういうふうにズレてしまうんでしょう?
これは下腿骨の捻れが原因になります。

 

変形性膝関節症(以下膝O.Aと略す)における下腿骨軸の変化は、femorotibial angleの変化だけでなく、膝関節部における下腿の回旋も認められる。

出典:九州大学整形外科「変形性膝関節における下腿の回旋について」

※「femorotibial angle」は、正面から大腿骨と下腿骨をみたときの角度のことです。176度くらいが正常で、それ以下だといわゆるX脚、180度をこえるといわゆるO脚です。

 

下腿骨を捻っているのは何か?

下腿骨がねじれる原因は、足関節のズレ(歪み)と膝周りの筋肉のアンバランスです。

 

人間の体は重力に抗して立っているので、体重は足元から骨で支えられています。
足→下腿部→大腿部→臀部→腰部→・・・と、順番に体重がかかっている。

 

つまり、膝関節は足関節に支えられているということですね。

なので足関節がズレるとその上に乗っかってる下腿骨もおかしくなります。

下の画像は傾斜させた床の上に立ったとき、正常な脚の骨がどういう連鎖で動くかを示したものです。

変形性膝関節症の方は、みなさん靴底の踵の内側がすり減っています。
図のように足首がズレて傾斜してしまっているんですね。

重力に抗して体を支えるときは、一つの関節が単体で動くということはありません

足首がズレると、水平な床に立っているのに関節が傾いたり捻じれたりしてしまいます。

 

あと、関節は筋肉の力で動きますが、逆に筋肉の力の流れをガイドする役目をもちます。
ということは、関節に歪みがあると筋肉の働く方向も歪んでしまうということ

膝の変形性関節症の患者さんが、よく脹脛のスジが攣ったとか膝内側のスジが痛いというのは、下腿骨の捻れが関係しているのです。

 

足関節と膝関節の相関についてはこちらの記事もどうぞ→
ニーイン・トゥーアウトまたはニーアウト・トゥーインの原因とメカニズム、改善法


 

変形性膝関節症の治療

治療は「痛みに対する治療」と、「原因に対する治療」の二つに分けられるので、個別に説明しましょう。

 

痛みに対する治療

●整形外科ではシップ・注射・サポーターetc

ズレた関節を動かしていると筋肉や靭帯に傷がついて炎症が起こり痛みをだしますので、炎症を抑えるためにシップや注射をします。

 

●整骨院など民間療法ではマッサージ・ストレッチ・テーピングetc

痛みは関節を動かした時に強くなるので、動きを制限して痛みを抑えるためにサポーターやテーピングをします。

また、傷んだ筋肉は血流不足になって硬くなるので、ストレッチやマッサージで筋肉を柔らかくします。

 

原因に対する治療

●整形外科では人工関節置換術(外科手術)・リハビリ(運動療法)

膝関節そのものが歪んで変形してしまっているので、人工膝に付け替える。

膝を支える筋力が低下しているのが原因とみられる場合は、筋力トレーニングをします。

 

●整骨院など民間療法では関節整復・鍼灸・筋膜リリースetc

膝関節や足関節のズレを徒手整復で治したり、脚だけでなく全身の筋肉の力を上手く連動させて膝を動かしやすくする筋膜リリース、東洋医学のツボで治す鍼灸など、様々な療法があります。

どの療法が効く効かないでなく、効果は先生の腕次第なのが治療院選びの難しいところではあります。

 

整形外科と整骨院、どっちがお勧め?

そりゃ整骨院ですよ!と言いたいところですが、正直な話、まともに歩けないくらい痛いとか、痛くて夜寝られないくらい酷いなら、いちど整形外科にかかって手術を検討したほうが良いです。

膝の人工関節手術は成功率が高く、入院も二週間程度で、膝は真っすぐなるし痛みはなくなるので、症状が酷い方にお勧めです。

とはいえ、手術を受けるのを決断するのは悩ましいところだと思います。

そんなときは、整骨院の施術がお勧めです。

 

また、整形外科で手術は言われなかったけど湿布だけ出されて終わりとか、リハビリ室で筋トレするのに通院とかだったら、断然整骨院のほうが良いです。

私たち療術師の技術で手術必須と言われた膝を痛みなく改善できることも少なくありません。

整骨院や整体、鍼灸は、治療効果が先生の技量でかなり差があるので、腕のいい先生に当たるとビックリするくらい良くなることもありますよ!

 

変形性関節症まとめ

  • 変形性関節症は、軟骨が減ってぶつかり合った骨に余計な骨が沸いてきて変形する。
  • 変形の直接的な原因は関節の歪みによるメカニカルストレス
  • メカニカルストレスは下腿骨の回旋が原因
  • 下腿骨の回旋は足関節の歪みと筋肉が原因
  • 治療は痛みを抑える対症療法と、関節のズレを治す徒手療法や運動療法がある

 

今回は変形性膝関節症について書きました。

意外に原因は足首にあったりするので、ただ太腿の筋肉つけて、マッサージして、という治療だけではよくならないことも多いのです。

サポーターやシップで凌いでいるという方も多いですね。

 

変形性の関節症は、初期のうちに関節のズレを治せば変形も痛みも防ぐことのできる膝のケガです。

ちょっと変だけど放っておいたら治るわ、と思って放置してたらだんだん酷くなって変形してきますよ。

 

早めに専門家に相談しましょう!

あなたが明石か神戸市西区にお住まいなら、ぜひ当院にご相談くださいね。

 

 

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