骨盤は歪む?歪まない?骨盤矯正の裏で繰り広げられる論争
いまやすっかり世間に広まった骨盤矯正。
とりわけ骨盤っていう言葉がキャッチーなんでしょう、とにかくどんな身体の悩みも
骨盤矯正したらハッピー
みたいなことを書いてるお店は多いです。
特に女性は骨盤という身体のパーツに興味というか関心が高い。
男と違って妊娠出産や月経のことがあるからなんでしょうね。
でも、今は当たり前になった骨盤矯正ですが、一昔前は骨盤に対する施術はオカルト扱いされてたって知ってます?
骨盤は歪まない!
骨盤がズレる?んなワケねーだろ!
的な否定派と、
骨盤は歪む!
歪みを直したら症状が改善するだろ!
的な肯定派の、昔から今現在まで続く論争。
今回はみなさんにラフな感じで「骨盤についてこんな論争があるんですよ」てことを紹介します。
骨盤矯正や骨盤のエクササイズに興味がある方は「あー、こんな話もあるんだ」くらいに読んでくださいね。
私も雑記扱いでラフに書いていきます。
このページの目次
骨盤を詳しく見てみよう
とりあえず、骨盤ってどんなものかっていうのを簡単に知っておきましょう!
骨盤の構造
骨盤は仙骨・寛骨の2種類の骨で構成されてます。
真ん中の仙骨を挟み込むように、左右の寛骨が合わさって、バケツみたいな器状になってます。
胃やら腸やらの内臓や、赤ちゃんが入るので、しっかり受けられるようになってるるんですね。
寛骨は子供のうちは腸骨・恥骨・坐骨の3つに分かれてますが、成長していくうちにくっついて一つになります。
図の赤丸で囲んだ部分で3つは連結して、ひとつの骨盤ユニットになります。
そのうち、仙骨と寛骨のくっついてるところを仙腸関節、寛骨同士がくっついてるところを恥骨結合といいます。
恥骨結合は骨と骨の間に軟骨が挟まってて、その周りを靭帯が覆って強力に繋げています。
軟骨部分がグニグニしてるので、恥骨結合はある程度動くし、出産のときは開くようになってます。
で、問題なのが仙腸関節。
一応関節という名前がついているんですが、この仙腸関節が
動く!
動かない!
でモメてるところなんですよねぇ。
仙腸関節が動く・ズレるから骨盤は歪む!
っていう主張と、
仙腸関節は動かないんだから骨盤が歪むワケない!
っていう主張。
どっちの話も「そう言われればそうやな」と私は思ってますが、一応私は歪む派です。
骨盤は歪むか歪まないか論争
医学で否定されてる骨盤の歪み
解剖学的に骨盤の仙腸関節は「不動関節」といって、「構造的には関節だけど実際は動かない関節です」と説明されてきました。
私も柔道整復師の学校でそう習ったような記憶があるような気がしますが・・・・実は覚えてません(苦笑)
仙腸関節の周りはメチャクチャ強力な靭帯が何重にも覆ってて、ガッチリ固められています。
(※ただし、出産の時はリラキシンというホルモンの作用で靭帯をゆるゆるにして仙腸関節が動くようになります。)
実際にお亡くなりになった方の御献体を解剖して、骨盤の関節を動かそうとしてもビクともしない。
関節は強力な外力が加わると脱臼するのが定石ですが、仙腸関節は脱臼することはありません。
関節が動かないのにどうやってズレるの?
動くくらいなら脱臼もするでしょ?
関節が動かないんだから骨盤が歪むわけない。
というのが否定派の根拠になってます。
ところが最近じゃ解剖学の本を見ると違うこと書いてるんですよ。
構造的に半関節かつ多軸関節である
とか
平面関節で極僅かに滑走する
とか。
あと、機能解剖学(解剖学と身体の動きを関連付けた学問)の本では、
呼吸とともに仙骨と寛骨は仙腸関節を境に互い違いに頷き運動をする
とか。
まぁ、全部の本を読んだワケじゃないので個人的な印象ですが、ざっくり言うと
死んだ人間の身体を調べる解剖学では仙腸関節は動かない
生きてる人間の動きを調べる機能解剖学では仙腸関節は動く
こんな感じでいいんじゃないかなと勝手に思ってます。
※あくまで個人の見解です。
民間療法では常識とされてきた骨盤の歪み
一方、医学ではない民間療法では、仙腸関節がズレて骨盤は歪むとしてきました。
(※民間療法でも歪まない派の人は結構います)
身体の色んな不調を、骨盤の歪みと関連付けて研究してきたんですね。
腰痛だったら仙腸関節がこっちにズレてるんじゃない?
とか
胃腸の調子が悪い人の骨盤調べたら歪んでるからなんか関係あるんじゃない?
とか。
むかしから多くの療術師が、骨盤の歪みと症状の関連を統計をとり、どんな手段で歪みを直せば症状が改善するのか?
ずーっと研究を重ねてきたんですね。
その中でもアメリカ発祥の民間療法の一つ・カイロプラクティックでは、骨盤をレントゲンで撮って仙腸関節のズレを詳細に分類する手法を確立しています。
ちなみにアメリカではカイロプラクティックは国家資格なので(※日本は国家資格ではありません)、医療保険や損害保険の請求にも治療の根拠として提出しています。
こんなふうに骨盤の歪みはレントゲンに写るんですが、お医者さんに言わせれば
だから何?歪んでるふうに写ってるけど、症状との因果って(医学的に)証明されてないでしょ?
ってことなんです。
医学では骨にヒビ入ってるとか壊死してるとかじゃない限り、問題視しませんからね。
ちなみにこれは骨盤だけじゃなくどの関節もそうです。
例えば肩関節や膝関節のズレもレントゲンに写りますが、やっぱりお医者さんは問題視しません。
なんでかっていうと、そういう研究をしてないからです。
ぶっちゃけ、興味ないんですね。
これは別に良い悪いじゃなくて、立場の違いだと思います。
※あくまで個人の見解です。
骨盤の動きは触れる?
仙腸関節の動きは身体の表面から触れることができます。
ベルトを巻く位置より少し下の骨が出っ張ってるところが仙腸関節の尖ったところです。
この出っ張りを指で押さえて脚を上下に動かしたり、股を開いたり、腰を反らしたり屈めたりしてみてください。
けっこう動くのがわかりますよ。
でも、触って動いてる感じがするからといって、それが仙腸関節が動いてる証明にはならないようです。
関節が動いてるんじゃなく、筋肉や皮膚が滑ってる
とか
仙腸関節を覆う靭帯が伸び縮みしてるからだ
とか。
どうなんでしょうね?
もうこうなったら生きてる人間の骨盤の肉を添いで、実際に見てみるしかないようです。
骨盤は歪む?歪まない?結局どっちやねん
さて、ここまで話してきて今更なんですが、ちょっと言葉の定義をしておきましょう。
“歪み”と”ズレ”の定義です。
骨盤が”ズレる”と骨案が”歪む”
っていうのは同じ意味のようで微妙にニュアンスが違います。
“歪む”っていうのは全体像のことで、”ズレる”ってのは部分的なことですからね。
なので
- 骨盤の歪み=骨盤全体の形の変化
- 骨盤のズレ=骨盤の一部(仙腸関節または恥骨結合)の位置異常
というふうに定義しておきましょう。
で、”ズレ”って聞くと、なんだかものすごい段差ができて互い違いになってるイメージが沸くことないですか?
でも仙腸関節は実際にはズレるほど動きません。
関節面の構造が平面で、動くときは仙骨の関節面と腸骨の関節面がスライドしますが、互い違いになるというより、一緒に動く感じ。
まとめ
- 骨盤が歪むか歪まないかは論争中
- 医学的見地では歪まない派、それ以外は歪む派(←ちょっと曖昧)
- 「仙腸関節がズレる」ていうのはちょっとオーバーで、撓む(たわむ)・歪む(ひずむ)て言う方が正確
ただし、何回も言ってますが、あくまで個人的な見解です。
どうでしたか?
骨盤矯正がブームの今、骨盤が歪むとかズレるとか当たり前のようになってますが、専門家の間ではこんなことになってるんですね~。
似たような話では小顔矯正もそうですね。
顔の骨が動くとか動かんとか
小顔になるのは顔の筋肉が引き締まるだけとか
ま、人間の身体のことを100%解明できてるワケでない、というか、わからんことのほうが多いんだから、「かもしれない」仮説をたててやってみて、それで調子よくなればいいかな、って私は思ってます。
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