股関節痛・恥骨結合炎になる原因と治りにくい理由を施術例で解説
ランニングすると股の付根が痛むので整形外科行ったら恥骨結合炎といわれました
痛くなる前は内腿にハリ感がありました
今は走り続けると鼠径部や下腹部まで痛みが広がります
このような悩みで私の治療院にやって来られたOさんは、40代のサブスリーランナーです。
Oさんの施術を受けた感想↓
恥骨結合炎は出産前後の女性に多い疾患ですが、陸上競技やサッカーなどスポーツマンもよくなります。
恥骨結合炎はいわゆるグロインペイン症候群の一つで、なかなか治らない厄介なスポーツ障害です。
今回は、マラソンランナーOさんの治療例をもとに、恥骨結合炎について解説していきます。
このページの目次
恥骨結合炎とは?
恥骨結合炎は男性なら睾丸(キン○マ)の後ろの脚の付け根が発痛場所です。
Oさんは睾丸と肛門の中間くらいの右脚の付根が発痛場所でした。
痛いからといってシップも貼れない、なかなかやっかいな場所です。
恥骨結合炎の症状
初期はダッシュや長距離ランニングなどの運動中に、恥骨結合付近に痛みを感じます。
効果的な治療を受けないでいると、運動中だけでなく運動後や、日常生活の中で踏ん張ったり階段を昇ったりするときも痛むようになります。
悪化していくと、はじめは恥骨結合付近の痛みだけだったのが、だんだん内腿や鼠径部、下腹部にまで広がっていき、クシャミや咳でも響くようになることもあります。
痛みになる前兆として、内腿の疲れが抜けにくく、筋肉にハリを感じることもあります。
Oさんもそのように言っておられました。
恥骨結合炎の原因
恥骨結合炎の原因は、内転筋群の柔軟性低下と関節機能の低下です。
硬くなった内転筋群が痛みを作り出す
内転筋群は骨盤(恥骨)から太腿骨内側にくっついていて、主に以下のような機能があります。
- 股を閉じる
- 脚を前後に動かす
- 片脚立ちのとき上体を安定させる
ランニングのときは常に内転筋を使っているのがわかりますね。
走るときは四頭筋やハムストリングなど内転筋を含めた太腿全部の筋肉が激しく伸縮します。
その中で、内転筋の柔軟性が低下すると、周りの筋肉の伸縮率とギャップ生まれて恥骨の付着部に牽引力が加わるようになります。
走るたびに付着部に内転筋を骨から引き剥がそうとする力が加わるため、痛みを発するのです。
逆に言ったら、内転筋が硬くなったから痛みが発生したんだから、内転筋を軟らかく戻せば痛みはなくなる、ってことですね。
内転筋(太もも内側)にマッサージやストレッチ、電気治療、鍼灸治療を施術するのはこのためです。
でも、施術を受けても効果がでないときや、施術後は良くなったけど練習を再開したらまた痛みがぶり返すときがあります。
それはなぜなのか解説しましょう。
内転筋は施術しにくい場所である
内転筋は太腿の骨から恥骨にくっつく三角形の帆のような筋肉です。
画像を見てわかるように、太腿の奥の奥に広がっています。
丈夫な皮膚組織と軟らかい脂肪層に阻まれて、気持ちいいくらいのマッサージや筋膜リリースでは、影響を与えられないんですね。
施術を受けても殆ど痛みがマシにならない、変化がないのはこういう理由です。
直接影響を与えるには、鍼治療かそれなりの強度を持った指圧しかありません。
もう一つ、施術の効果で痛みは軽減したけどぶり返す場合を解説しましょう。
関節機能の低下が筋肉を硬くする
施術でマシになったがまた痛みがぶり返したということは、せっかく軟らかくした内転筋の柔軟性が使ってるうちにまた硬くなったということですね。
これはそもそも内転筋を硬くした原因が取り除けていないということです。
筋肉の柔軟性が低下して硬くなるのは、一般的にはオーバーユース、いわゆる「使いすぎ」が原因といわれています。
過度な練習で筋肉の休まる時間が足りず、疲労が溜り硬くなる。
言わんとしていることは解りますが、なぜ内転筋にだけ疲労が溜るのか?
特定の筋肉にだけ負担がかかっているという事になるけど、それはなぜか?
そのカギは関節にあります。
関節は筋肉の収縮で動き、関節は筋肉の力の方向(ベクトル)を決める相関関係にあります。
なので、関節に不具合があると、関係するそれぞれの筋肉のベクトルが乱れるので、筋力が低下します。
すると通常より負担がかかる筋肉がでてくるのです。
関節の不具合のことを、柔道整復では”亜脱臼”、理学療法では”アライメント異常”、カイロプラクティックでは”フィクセイション”と呼びます。
一般的には”歪み”や”ズレ”と呼ばれていますね。
要するに骨同士の噛み合わせが悪くなってるということです。
恥骨結合炎症では、内転筋の働きに直接影響する膝・股・骨盤の関節のどれか、または複数に歪みがあります。
そして意外に多いのが、足首の関節に歪みが影響しているケースもあるので、それについても解説しましょう。
足関節は大事です
足関節に歪みがあると、片足立ちになったときにバランスを取りづらくなります。
片足立ちをやってみてもらうと分かると思うんですが、グラグラするのを堪えるのに一番使うのが股関節周りの筋肉です。
歩く・走るという動作は、片足立ちの繰り返しです。
足首に歪みがあると、走るたびに無意識にバランスを取ろうとするので、股関節周りの筋肉を酷使することになってしまうんですね。
恥骨結合炎症は、内転筋にその負担が大きく圧し掛かって疲労させて硬くなる、ということです。
関節機能の回復には
関節の歪みを治す方法は主に3つ。
- テーピング
- インソール
- 徒手整復
どの関節がどういうふうに歪んでいるかを判断するのは専門家でないとわからないので、セルフでできるのはインソールだけです。
ただ、インソールは足首専用なので、恥骨結合炎にはあまり有効じゃないかもしれません。
テーピングは「ケガ予防のテーピング」「患部を競技に耐えられるようにするテーピング」「歪みを補正するテーピング」で巻き方が全然違うので、ちゃんとしてくれる施術者に巻いてもらいましょう。
徒手整復はやってるところは少ないですが整骨院で施術してもらいましょう。
まとめ
- 恥骨結合炎はグロインペイン症候群の一つである
- スポーツでは陸上競技やサッカーなどに多い
- 恥骨結合炎の痛みの原因は内転筋の柔軟性低下
- 柔軟性を戻す目的でマッサージやストレッチなどを施術
- 内転筋は太腿深部にあるので施術の影響を与えにくい
- 施術で柔軟性が戻ってもまた痛み出すのは関節の歪みが原因
- 関節の歪みを治すのはインソール・テーピング・徒手整復
いかがでしたか?
Oさんは一回の施術後、翌日からランニングを再開してもらい施術効果を確認してもらったところ、
治療に来る前はランニングをしていると恥骨結合がいたくなって、どんどん下腹部や内腿に痛みが広がって走れなくなった。
一回の治療後は恥骨結合の痛みは少し残っているが、下腹部や内腿に痛みが広がることはなかった。
ということでした。
二回の治療で完治し、
目前に控えていたマラソン大会にも出場できた。
しかし長い間練習できなかったので、早くサブスリー復帰を果たしたい
と意気込んでおられました。
恥骨結合炎は、適切な治療をすれば、それほど難しいスポーツ傷害じゃありません。
重症化して恥骨の疲労骨折までしていると別ですが、施術したらその場で痛みの軽減を実感していただけます。
一回目の施術日の翌日から練習を再開して効果を確認しながら治療を進めて、平均3回で痛みなく全力で走れるようになります。
逆に一回施術して全くマシにならない、治る感じがしないなら、それは私の技量不足か医師の範疇なので、通院を止める判断がつきやすいでしょう。
あなたが恥骨結合炎でお悩みなら、いちど当院の施術を受けてみてください。
効くか効かないかは一回でわかりますよ!