腰痛を繰り返すスポーツ選手は肩と股関節が悪かったというお話
このまえ、二年ほど前にハムストリングの肉離れを当院で治した棒高跳び選手のTさんが、今度は腰を痛めたということで来院してくれました。
- 特に落下して腰を打ったとか、無理に捻じったとかいう覚えがない
- 練習してたらだんだん腰が痛くなってきた
- 放っておいたら治るかなと思っていた
という、整形外科や適当な整骨院に行ったら
使いすぎですね、暫く練習休んでください
と言われる典型的なケースです。
原因を「使いすぎ」にするにしても、じゃあなんで脚や腕でなく腰なのか?てことを解説するのに丁度いい例なので、ご本人に許可を得てサンプル画像を撮らせてもらいました。
結論から言うとTさんの腰痛は左の股関節と右の肩関節が原因でした。
左股関節と右肩関節の可動域が狭くなって、腰に負担が掛かり続けた結果の腰痛です。
肩のほうから解説しますと、Tさんは右肩に屈曲可動制限、つまり腕を真っ直ぐ上に挙げにくくなっています。
画像は、施術前の腕を挙げにくい状態と、施術後の可動制限を治した状態の比較です。
施術後のほうが真っ直ぐ立てており、施術前のほうは少し腰が反り気味になっています。
肩関節に制限がかかって腕を真上に挙げにくくなったのを、腰を反ることで代替しているので、こうなってしまうんですね。
次の動画はTさんの左股関節の伸展可動域制限のようすです。
天井方向に脚を上げる=股関節伸展運動が、右より左のほうが上げづらくなってますね。
左脚で地面を踏み切るときは、股間節を思いっきり伸展させて脚を後ろに送らなければいけません。
しかし、伸展制限がかかった状態では、普段どおりのフォームで跳ぼうとしても股間節が伸びないので、腰を反って代替することになります。
最初の腕を挙げている画像を見ても、僅かに股間節が曲がって居るのがわかります。
股間節が曲がっているので、膝まで僅かに曲がっていますね。
関節可動制限が原因となって痛みが発症する場所は、競技や個人の身体の使いかたに依ります。
棒高跳びで肩関節と股間節の可動制限が最も腰に影響する動作は、踏み切りのときと思われます。
右腕と左脚を後ろに反って大ききな撓りをつくっていますね。
このような身体を後ろに反る動作をする競技に腰痛は多く発症します。
野球のピッチャーや、バレーボールのアタッカー、バトミントン、テニス、水泳など。
身体の出来上がっていない中高生だと、損傷が筋肉だけでなく腰椎に及んで、分離症、すべり症、腰椎骨折になるケースも少なくありません。
スポーツ選手の腰の故障は、腰そのものに原因があるのではなく、競技特性と全身の筋肉と関節の連動を念頭に入れて治療しないと完治は見込めません。
腰に電気当ててマッサージしたり、ストレッチしたりでラクになっても、練習に復帰したらすぐまた再発するのは、根本的な原因が改善していないことが多いですよ、というお話でした。