打撲傷

身体に様々な物体が衝突し、出血を伴わないケガを打撲傷といいます。

スポーツシーンではボールや道具が当たる、プレーヤー同士の衝突などで多くみられます。

 

当院の打撲傷治療で多く扱う競技はサッカー、バスケットボール、バレーボールで、部位については太腿が圧倒的に多く、次に下腿部(ふくらはぎ)の受傷です。

スポーツ選手以外の一般の方は打撲の治療で来院することはほとんどなく、交通事故や労働災害の受傷で稀に治療に来られるくらいでしょうか。

 

打撲傷は日にち薬で治るからといって放置すると、あとで後遺症が残りパフォーマンスや不定愁訴の原因になる、侮ってはいけないケガです。

ここでは主にスポーツシーンの打撲傷、特に下肢の打撲傷に焦点を当てて解説していきます。

 

打撲を受けたら

まず、打撲を受けたら一端スポーツを中止しましょう。

 

特に下腿部(ふくらはぎ)に打撲を受けたときは要注意です。
急激に腫れるようだと、深部で内出血して周囲組織を圧迫し、酸欠状態になり壊死するコンパートメント症候群の可能性があります。

 

ふつうの打撲との違いは、コンパートメント症候群になると下腿内部の筋肉の膨張によって神経圧迫が起こるため、足の指に神経症状(麻痺や痺れ)が表れます。

参考:日本救急医学会「コンパートメント症候群」

 

コンパートメント症候群は処置が遅れると最悪下肢切断に至る事もありますので、疑わしいときはためらわず救急搬送を要請しましょう。

 

打撲受傷~受傷2日間

応急処置の基本はRICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)です。

寝るか座るかして患部を心臓より高く上げ、氷嚢などで抑えます。

打撲傷のRICE処置 

打撲傷のRICE処置

アイシングは必ず氷嚢を使いましょう。

専用のアイシングパックなどが市販されていますが、なければビニール袋に水と氷を入れたもので十分です。

アイスノン、保冷剤、その他の冷却グッズは有効ではありません。
特にコールドスプレーは何の効果も見込めません。気休め程度です。

 

受傷後およそ二日間は内部の損傷した毛細血管から出血し炎症物質を出すので、
冷却して毛細血管を収縮させて内出血を抑えることが必要です。

 

受傷2日以降

炎症はおよそ2日で退いていくので、それ以降は今度は温めて血流を促進させ、組織の回復を図ります。

 

お風呂や温湿布、カイロなど温かいものを患部にあてておきます。

 

打撲傷は軽度なものならおおむね2週間で完治しますが、重度になると1カ月から2カ月間痛みが退かないこともあります。

 

打撲傷のセルフケア

打撲傷の回復は安静が基本になりますが、テーピングやサポーターは症状の軽減に有効です。

テーピングとサポーター

太腿の打撲に関しては、テーピングとサポーターが一般的です。

太腿サポーター

太腿サポーター

テーピングやサポーターは痛みを緩和させますが、これをしているから治るというのではないことに注意してください。

むしろ締め付けることで、打撲で損傷を受けた組織の修復に必要な血流を阻害し、回復を妨げることになるので、試合や練習を終えたらすぐに外しましょう

 

打撲傷のストレッチ

打撲を受けた筋肉は柔軟性が低下します。

太腿前の打撲では、膝を曲げると打撲したところが突っ張るように感じます。

ストレッチをかけることで筋肉の柔軟性を回復することは可能ですが、受傷から2日間は厳禁です。

3日以降、痛みのない程度でゆっくりストレッチをかけてあげましょう。

お風呂で温めたあとにストレッチをすると効果的です。

 

打撲傷の後遺症

受傷後にしっかりした処置を怠ると、「外傷性骨化性筋炎」になることがあります。

 

外傷性骨化性筋炎は、打撲を受けた時の損傷で筋肉内部に血腫ができ、カルシウムが沈着して筋肉の一部が骨のようになります。

俗にいう「シコリ」となり、筋肉の収縮の障害となってパフォーマンスを下げたり、再発の原因や寒い時期の不定愁訴の原因となったりすることもあるので注意が必要です。

 

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