グロインペイン症候群(股関節痛・鼠径部痛症候群)とは?原因と予防・対策

この記事は、サッカーなどスポーツ選手が受傷する鼠径部痛(グロインペイン症候群)の以下の事を書いています。
- グロインペイン症候群の概要を知りたい
- ストレッチやテーピングのセルフケアを知りたい
- リハビリで行う筋トレ(体幹トレーニング)を知りたい
- どんな治療や施術があるか知りたい
- なぜ治療や施術を受けても治らないのか知りたい
このページの目次
グロインペイン症候群とは?
特にサッカー選手に多く見られ、運動に伴い
- 股関節周辺の鼠径部
- 下腹部
- 股間
- 太腿内側
- 臀部
に痛みがある症状全般をグロインペイン症候群と呼びます。
当院では、サッカー選手と同じくらい陸上長距離選手が来院されます。
大人は競技人口に比べてラグビーやアメリカンフットボールの選手も多いです。
スポーツシーンでは、主にボールを蹴る・走るときに痛みが出ます。
日常生活では、靴下を履くときの膝を抱え上げがやりにくい・痛い、クシャミや咳で下腹部が痛んだりします。
グロインペイン症候群を細かく分類すると、
- 恥骨結合炎
- 内転筋腱周囲炎
- 腸腰筋機能障害
- 鼠径管後壁欠損
- 外腹斜筋腱膜損傷
- スポーツヘルニア(鼠径ヘルニア)

というように、痛みの出ている部分に関係する筋肉や靭帯の名前が傷病名になっています。
当院に来られる方の部位ごとの発痛場所の割合は、鼠径部80%、内転筋50%、下腹部30%、臀部20%、股間(恥骨結合炎など)3%で、一箇所だけ痛むということは稀で、ほとんどの方が複数個所に痛みを抱えていました。
グロインペイン症候群(股関節痛・鼠径部痛)の原因とされていること
整形外科では、スポーツのケガによくある「オーバーユース」、いわゆる「使いすぎ」が原因とされています。
筋肉を使い過ぎて疲労が溜って柔軟性を失って硬くなり、炎症を起こして痛みを出す
ということだそうです。
グロインペインの治療・施術
「使い過ぎて疲労している」ということなので、安静=練習の休止で疲労を抜き、回復を図るのが基本です。
加えて柔軟性を失った筋肉の回復を目的に、マサージ・ストレッチ・電気治療・鍼灸などの療法を施術します。
最近の整形外科は「損傷部位のモヤモヤ血管が原因」ということで、カテーテル手術でモヤモヤを取り除く術式も普及しています。
グロインペインのセルフケア
プレーできないくらい痛いとなったら整形や接骨院にすぐかかるでしょうけど、最初は違和感だけであったり、痛くてもそうたいしてプレーに支障がないケースが殆どです。
そういうときまず自分でなんとかしようと思ってやるのがテーピングとストレッチでしょう。
ここで代表的なテーピング法とストレッチ法を紹介しますね。
グロインペインのテーピング
テーピングはあくまでその場しのぎの手段です。
テーピングしながらプレーして痛みがマシになっていかないようなら、逆に慢性化を進めていることになります。
効果がないと思ったら、自分で何とかしようとするのは諦めて治療にかかりましょう。
グロインペインのストレッチ
ストレッチはあくまで一時的に筋繊維を伸ばして痛みを緩和しているだけです。
治療にはならないので、ストレッチを続けても良くなっていかないようなら、諦めて治療にかかりましょう。
もう一つ、ストレッチは絶対に痛みを我慢して無理に筋肉を伸ばさないでください。
オーバーストレッチは筋繊維を新たに破断し逆に筋肉を硬くします。
治療にかかっても治りにくい身体になるので要注意です。
グロインペインのリハビリトレーニング
筋肉を使いすぎてしまう3つの原因
- 片脚立ち時のバランス性の低下
- キックフォームの乱れ
- 上体の筋力を下肢にうまく伝えられていない協調性低下
の改善を目的に、運動リハビリトレーニングを行います。
これらは「体幹トレーニング」「バランストレーニング」「フォーム修正」などなど、様々な呼ばれ方をしています。
パフォーマンスアップのために普段のトレーニングでやっているチームも多いですね。
このリハビリの目的は、全身の筋肉のコントロールを上げることです。
わかりやすいように「筋膜連鎖」と呼ばれる全身の筋肉同士の繋がりを交えて解説していきます。
体幹トレーニング
下の図は身体前面のもっとも深い筋肉同士の繋がり、「ディープフロントライン(以下DFL)」と呼ばれる筋膜連鎖です。

DFLは身体の中心で四肢と胴体の動きを制御する働きを持ちます。
体幹トレの基本、フロントブリッジで鍛えることが出来ます。
DFLを意識し鍛えることで、四肢を動かしたときの胴体(体幹)の安定性を高めることができます。
バランストレーニング
次は側面の筋膜連鎖「ラテラルライン(以下LL)」です。

LLに含まれる腹部側面筋、臀部筋、大腿外側筋は、片脚立ちになったときに骨盤を安定させバランスを保つ重要な筋膜連鎖です。
トレーニングは以下↓
LLを意識し鍛えることで、片脚立ちになったときのグラつきをなくし安定性を高めることができます。
走る・歩くは片脚立ちの連続ですから、LLラインは重要です。
特にキック動作は片脚を踏ん張りますから、サッカー選手には超重要ですね!
協調性機能訓練
最後は身体の前面と後面にある、左右の四肢をX字につなぐ「ファンクショナルライン(以下FL)」と、身体全体の回旋運動をつなぐ「スパイラルライン(以下SPL)」です。


この二つの筋膜連鎖は主に身体を捻る動作に関係します。
歩行や走行時は、腕と脚は左右互い違いに振ると同時に体幹はそれに合わせて捻れるように動きますので、身体を捻ってパワーを出すこの機能を最大限に使うスポーツに非常に重要な筋膜連鎖です。
キック動作はその最たるもの。

脚・体幹だけでなく、腕を含めた一連の連携で強力なシュートを打てるんですね。
トレーニングは以下↓
体幹・バランス・協調性機能トレーニングは、スポーツ整形外科や整骨院の中で行っているところも増えました。
動きが小さく、しんどいものでもなく小スペースでできるので、自宅で継続しましょう。
ただし、注意しなければならないのは、これらトレーニングで負荷がかかるのは傷めている筋肉であるということ。
やってると悪化することもありますから、症状が強い場合は自己流で行わず、まず専門家に相談しましょう。
それと、リハビリテーションをやったからといってすぐに治るわけではありません。コツコツと積み重ねていくのが大事ですよ!
グロインペインの改善施術いろいろ
整形外科は置いておいて、接骨院や鍼灸、整体などのさまざまな民間療法施術所でグロインペイン症候群を改善しています。
でも、看板に「〇〇接骨院」「××接骨院」と書いてある、同じ接骨院だからといって中の施術者のやってる療法が全然違ったりします。
鍼灸にしてもいろんな流派というかやり方があります。
なので、接骨院が効く効かない・鍼灸がいい悪いでなく、あくまで施術の結果は施術者個人に帰属することを知っておいてください。


