治らない内転筋痛グロインペイン症候群を通院3回で完治した例 / 金光大阪高校サッカー部N君の場合
●走ると股関節が痛い
●ボールを蹴ると股関節や足の付け根が痛い
●スポーツ整形外科でグロインペインと診断されてリハビリしてるけど良くならない
●整骨院や整体にも行ったけど良くならないんです・・・・
というお悩みで、わざわざ大阪から神戸にある私の接骨院に施術を受けに来てくれたN君。
サッカー選手につきもののグロインペイン症候群は、股関節や脚の付け根(鼠径部)に痛みを訴えるケースが多いのですが、内腿に痛みを訴えることも多くあります。鼠径部だけに痛みを感じる!というケースでも、調べてみたら内腿の筋肉が硬くなってることも。
内腿の筋肉は「内転筋群」といって、脚を内に閉じる(股を閉じる)動作のときに働きます。
サッカーだと特にシュートやロングボールを蹴るときですね。
今回は、N君の症例を基に、この内転筋群の改善施術について書いていきます。
グロインペインが治らずに悩んでいる方は、ぜひ読んでみてください。
このページの目次
N君のプロフィール
N君は17歳男性で、大阪府のサッカー強豪校でMFを務めています。
利き腕は右。蹴り脚は右で軸足は左。
二ヶ月ほど前に強いボールを蹴ったら右内腿に激痛が走り受傷。
その日は練習を抜けて休養し、翌日から痛いながらも練習に参加。
近所の整骨院で電気治療やマッサージを受けながら暫く練習を続けていたら、だんだん左内腿も痛くなってきた、とのことでした。
N君のグロインペインの症状
日常生活で痛むことはないということでしたが、走ったり、ボールを蹴ったりすると内腿が引き攣るように痛むそうです。
走るときは脚が地面に着いて体重がかかるときが痛い。
蹴るのはインサイドキックで遠くにボールを蹴るときが一番痛いということでした。
これはグロインペインの代表的な症状です。
これはグロインペイン症候群?
この症状だと、整形外科医なら”グロインペイン症候群”と診断すると思います。
もうちょっと詳しく伝えてくれるお医者さんなら、”内転筋腱炎”と言われるかもしれません。
※「内転筋腱炎」てのはグロインペイン症候群の一種なので、グロインペインには変わりありません。念のため
と、その前に、そもそもグロインペイン症候群って何?という方も居られると思いますので、簡単に説明しときますね。
グロインペイン症候群とは
主にスポーツ選手が
股関節の周りに痛みを感じる
と訴えればだいたいグロインペイン症候群の診断がつきます。
サッカー選手に多く、中田英寿元選手や中村俊輔選手、長谷部誠選手もこの怪我に苦しみました。
最近は厚底シューズを履く長距離ランナーもグロインペインになることが多くなってます。
体幹から股関節周辺の筋や関節の柔軟性(可動性)の低下による拘縮や骨盤を支える筋力(安定性)低下による不安定性、体幹と下肢の動きが効果的に連動すること(協調性)が出来ず不自然な使い方によって、これらの機能が低下し、痛みと機能障害の悪循環が生じて症状が慢性化していきます。
何らかの原因で可動性、安定性、協調性に問題が生じたまま、無理にプレーを続けると、体幹から股関節周辺の機能障害が生じやすくなります。また、片足で立ってキックを多くするサッカーの動作そのものが発症の誘因になります。
図のように、いわゆる「股」に当たるところが対象です。論文によってはお尻側や横側もグロインペイン症候群に入っていることがあります。
一口に「グロインペイン症候群」と言っても、傷めてる場所で分類された傷病名がつきます。
- 下腹部・・・腹斜筋腱炎
- 鼠径部・・・鼠径靭帯炎、鼠径ヘルニア
- 内腿・・・・内転筋腱炎
- 睾丸後方・・恥骨結合炎、閉鎖筋腱炎
など。
ちなみに「症候群」とは、「こういう症状や病変があるのを一くくりにした傷病名」のことなので、例えば骨盤の疲労骨折や、鼠経へルニヤなど、びっちりした傷病名のあるものも「グロインペイン症候群」になります。
N君は内腿だけに痛みを訴えていたので、「グロインペイン症候群の内転筋腱炎」の診断がつくと思われます。
要するに、内転筋とそこの腱が炎症を起こして痛みを出している、ということで、実態としては肉離れみたいなものです。
もっと詳しい説明ならこちら↓
N君の身体の状態と施術
一ヶ月以上経っても症状が良くなっていかない・痛みが軽くならないとなれば、身体全体を診なくてはいけません。
なぜ内腿が痛くなったのか?
という根本的な原因を解決しないと、たとえ痛みが和らいでも、練習したらすぐまた痛くなってしまいますからね。
内転筋群の筋膜異常が痛みを発生させる
内腿を触診で調べてみると、内転筋の柔軟性が全体的に低下しています。
更に筋肉と筋肉の境目に指を入れて奥を探ると、
あ!そこです!そこが痛くなるとこです!
とN君。
下図のように内転筋の奥の奥がスジ状に硬くなってしまっていました。
これは小さな肉離れが積み重なって慢性化したものです。筋肉を構成する筋繊維の一部が硬くなっているんですね。
一部の筋繊維が硬くなると、筋肉の収縮時に周りの健康な筋繊維と収縮率に差が出ます。そのギャップが知覚されて痛みを発するというわけです。
少し硬くなったくらいだとそれほどギャップがないのでわかりませんが、酷使していると積もり積もって硬さは増します。
N君の場合は、受傷日にその限界が来てしまったんでしょう。
それに硬化した筋繊維は内転筋群の奥、つまり太腿内側の深いところなので非常に施術に難しい場所です。
なのでグロインペインの治療や施術で電気やマッサージ、ストレッチを受けて改善しないことが多いんですね。
ひだりの内腿も全く同じような状態でしたが、右よりはだいぶん軽い感じでした。
内転筋の筋繊維の柔軟性を回復させる
マッサージやストレッチで改善しない硬くなった筋繊維。場所は内転筋の奥の奥、内腿の深いところです。
内転筋群は下図の断面を見てもらうとわかるように、複数個の筋肉が隣り合っていて、それぞれが筋膜という薄い膜で包まれています。
このあたりの筋肉が傷むと、それぞれの筋膜同士がくっつきあって尚更治りにくくなります。
施術で効果を出すには、内腿に指を沈めて筋繊維をかき分けかき分け、痛みの出す硬い繊維を探し出して直接指先で強指圧矯正しないといけません。
痛いところに指突っこんでグリグリするので、施術は痛いんですが、劇的に治そうと思ったらそれくらいしないと意味がありません。
硬くなった筋繊維を一旦破壊してやれば、あとは再生していくうちに柔軟性は回復するという結構な荒療治ですが、効果はテキメンです。
再生には血液が必要なので、血流を増やすために筋肉をバンバン動してもらう必要があります。つまり、安静にせずに、練習をした方が早く治ります。
そもそも、なぜ内転筋を傷めたのか?その原因は関節にあり
内転筋群の肉離れから始まったN君のグロインペインですが、そもそも肉離れを起こした原因は何なのか?
いくら内腿の痛みをとっても、根本的な原因を改善しないと再発してしまいます。
よーくN君の身体を観察すると、左の骨盤と背骨の可動性が低下していました。
筋肉は関節と連動しています。関節の動きが悪くなれば、筋肉にかかる負担が増えます。
スポーツのような瞬間でパワーを出す動作で連動が悪くなると、どこかに負担がかかってしまう。
サッカーのキックは特に股関節主動の内転・屈曲運動なので、内転筋に大きな負担が掛かって傷めてしまったというわけです。
骨盤と背骨の関節整復
関節の可動性を回復する方法はいろいろありますが、当院は関節に瞬間的な直達外力を加える矯正整復で施術しています。ボキッと音がするやり方なので、音にビックリする人もいますが、ちゃんと機能解剖学に基づいた方法なので痛くありません。
N君じゃないけど参考動画↓
N君のグロインペイン症候群は3回で完治しました
N君の治療経過です。
当院に来る前の症状をレベル10として、
・初回施術後は10⇒5。
練習開始直後に痛みはあるが、やってるうちに軽くなる。
けれど練習を終えたあとに痛みがまた出てくるとのこと。
・二回目施術後は5⇒3
ロングボールはのみまだ痛みあり。
痛みは練習中盤に増し、練習後はほんの少し痛む程度。
・三回目施術後ほぼ痛みなし。
三回目の施術のときに骨盤と背骨を整復矯正して、筋肉とうまく連動できるように治しました。
・四回目の来院で痛み全くありません!
ということでした。
内転筋は当初カチカチだったのがヤワヤワになってました。
N君に施術の感想をかいてもらいました。
早く治るかどうかは施術のやり方しだい
グロインペイン症候群といえば股関節に問題があるように思いがちですが、股関節じたいに問題のあることはごく稀です。
鼠径部など脚の付け根が痛いのは、殆どが太腿の筋肉の異常によるものです。
ぶっちゃけいえば硬くなった筋繊維が痛みの発生源なので、軟らかくもどしてやれば痛みは緩和します。マッサージやストレッチ、電気治療をするのはそのためです。
ですけど、治療や施術にかかってもなかなか治らず、長い間練習できなくてどうにかならないかと悩んでいる選手はたくさんいます。
●硬い筋繊維が肉の奥にあるのでヤワな施術では効果がない
●筋繊維を硬くした要因を取り除かないと痛みの緩和は一時的なものになる
この二つが治療や施術で良くならない理由です。
しかし、当院のグロインペイン症候群改善施術は平均3回で完治しますし、一回施術を受けたら殆どの場合、その場で痛みは大幅に軽減します。
いいことばっかり書いてますが、その代わりと言ってはなんですが殆どの場合、施術には痛みが伴います。
それに全部が全部、全員治せたのかと言うとそうではありません。
全く改善できない、痛みがマシにもならないという方も何十人かに一人の割合でありました。
そのような方は一回施術をしても全く痛みが軽減しない、マシにもならない。もしくは施術後は軽減したものの、2,3日で元の痛みに戻る、というパターンでした。
なので、当院のグロインペイン施術は一回施術を受けたら当院で治るかどうか判断できます。
というか、私が治せる見込みがないと判断したら、正直に「私では治せません」とお伝えするようにしています。
治せる確信がないのに通院を勧めるのは不誠実ですし、スポーツ選手にとって貴重な時間を浪費させてしまうと考えるからです。
もし、あなたがグロインペイン症候群のせいで練習できない、試合に出られない、治療受けているけど良くならないと困っているなら、いちど当院の施術を受けに来てにてください。
治るか治らないかはその場ですぐわかります。
一刻も早くグロインペインを克服して、全力プレーできる身体を一緒に取り戻しましょう!